厚生年金基金はこんなに大変。でも公的資金で救済は・・・

サラリーマンが将来受け取る年金は、国民年金と厚生年金の2階建てになっています。
いずれも国が運用の責任を持っています。
中小企業の大部分は基金をつくり、厚生年金の一部を国に代わって運用しています。
基金を解散する時は、国に代わって運用していた「代行部分」を国に返済する必要があります。
しかし、この代行部分にまで運用損失を膨らませ元本を割り込み、解散しても国に代行部分を返済できない基金多く存在します。

例えば、兵庫県乗用自動車厚年基金の場合
1970年に設立したが、年金受給者の増加と年金運用がうまくいかず、給付に必要な積立金不足が拡大。
2006年1月に解散した。

兵庫県乗用自動車厚年基金の代行部分は137億円。
純資産は66億円。
解散しても、71億円国への返済が足りなかった。
この71億円は、加入する50社が受給者数などに応じて分担することになった。
19社は計22億円を一括納付した。

しかし、31社は10年分納とした。
分納を選んだ会社は、返済中に倒産すると、分納を選んだ他の会社が倒産企業の借金を負担することと決めた。

兵庫県乗用自動車厚年基金に加入していた50社中15社が営業停止しました。

神戸市の垂水タクシーは、兵庫県乗用自動車厚年基金に加入していた。
解散の際には、分納とした。
これまで割り振られた分の基金の借金は1億5600万円。
年間2000万円ほど返済し続け、これまでに9300万円を返済した。
返済額は残り6300万円になっていたが、倒産企業がでて、その分の返済額を負担することとなってしまった。
倒産企業の負担額は3億7800万円あり、垂水タクシーの返済額は4億4200万円と膨らんでしまったそうです。

垂水タクシーは、貧乏くじをひいた格好になりました。

ここまで損失拡大する前に基金を解散できれば、、、
運用益拡大を狙って、代行部分に手を出さなければ、、、
基金が資金運用という賭けに負けた結果、代行部分の返済に分納を選んだ企業が泥沼化してしまいました。
AIJの巨額損失はこれどころではないので、このような企業が多くでてしまうでしょうね。

AIJの巨額損失に関して公的資金で救済!という声も上がっています。
全国石油商業組合連合会は
「年金消失問題の損失分は、公的資金によって救済すべき。制度に無理がある。」
と訴えています。

全国石油商業組合連合会の中でAIJに運用委託していた基金は
東京都石油業年金基金:50億7000万円
北海道石油業厚生年金基金:38億5000万円
長野山梨石油年金基金:20億円
(3月1日現在 厚労省部会提出分)
など。

AIJのうたっていた高い利回りが現実のものになっていれば、よかったのですが。
利益出たら、老後安心。損失が出たら税金で救済。
はないですよね。

国は税金で基金を救済することに慎重姿勢です。

制度に無理があるなら自重すべきだったのです。
代行部分は使わない選択もできるのです。
ある意味、レバレッジきかせて投資していて
資金がマイナスになるリスクを承知の上で投資していたのですから、自分たちで責任をとるしかないと思います。

厚生年金基金には、天下り官僚も多くいたといいます。
(北海道石油業厚生年金基金もそのひとつで、北海道社会保険事務局からOBが一人天下っていた。)
「投資の素人を高い給料で雇って、投資に失敗したから税金使って助けろ!」
は通りませんよね。

垂水タクシーさんの場合は、
お金を預けていただけで、かわいそうだ。
救済してあげても・・・
という気持ちになりますが。。。
もっと早い段階で基金から脱退という選択肢もあったわけです。
運用がうまくいく方に賭けて負けたんです。
返済をしてもらうしかないですよ・・・

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  1. かなり昔から有名な兵庫の基金の解散処理の問題
    31社が分納を選んだときに、今後倒産企業が出たらその分を残り企業で肩代わりするというのが
    クセ物だったわけです。
    これは知恵者は考えだした、無責任な案でたぶんこうでも言わないと、解散を認めてもらえなかったのでしょう。しかし、これを考え出した人は、当然先々の倒産の発生は予想していたでしょうから、
    問題先送り、自分の在職中さえクリアすればよいという考えです。
    たしか、あの時点でもう加盟人数よりも年金基金受給者の方が多かったとか書いてあったのをみた記憶あります。そして、またまた知恵者のコンサルタントが暗躍して、どんどん偽装倒産→解約(ただし従業員はそのまま新タクシー会社をつくって移籍させる)が進んだことも書いてあった。
    つまり、最初の段階で破産に準じた強制解散して、受給者への支給を停止ないし大幅減額するしかなかったのです。それを責任追及されたくないから数年間でも先送りして、その間に自分は無事引退という絵を描いた悪者がいたわけです。垂水タクシーは正直者で犠牲者ですよ。

  1. 2012年 6月 21日